新着情報

News

「正しさ」が生む怖さ ― 舞台『狩場の悲劇』を観て

先日、舞台『狩場の悲劇』を観る機会がありました。
一度観ただけでは理解しきれない、非常に考えさせられる作品でした。

この舞台で描かれているのは、事件そのものよりも、
「正しさ」や「善意」、「責任」といった、一見すると正しいはずの価値観が、人や社会にどのような影響を与えるのかという点です。

登場人物の多くは、決して悪意を持って行動しているわけではありません。
しかし、それぞれが自分の正しさを信じ、曖昧さを許さずに判断を下していく中で、悲劇は避けられないものとなっていきます。
特に印象的だったのは、「筋が通っている」「正しい判断をしている」と見える行動ほど、結果として大きな破壊力を持つ場合がある、という点でした。

また、物語の終盤では、複雑な問題を誰か一人の責任に集約することで、
周囲が安心してしまう構図が描かれます。
しかし、それは本当の意味での解決ではなく、問題を「処理したように見せている」だけなのではないか、という強い問いが残ります。

この作品を通じて改めて感じたのは、私たちが日々の仕事や組織の中で下している「正しい判断」についても、常に立ち止まって考える姿勢が必要だということです。
分かりやすい答えを急ぐのではなく、相手の立場や迷いに目を向けることの大切さを、静かに突きつけられました。

一度観ただけでは終わらず、時間が経ってからも考え続けてしまう――
そんな余韻を残す舞台でした。